ベトナム人実習生の虐待ニュースを受けて

先日ベトナム人実習生の虐待ニュースを見る機会がありました。今となっては驚くものでもないほどよく取り上げられる話題ですが、色々思うところがあったので記事にします。単純に「可哀そうな実習生、酷い会社」で終わると先がありませんので、少し違った視点から書いてみようと思います。

典型的なパターン

ニュースを見ると41歳の男性実習生で建設会社勤務、2年間虐待を受けていたとのこと。年齢が高いと語学の習得が悪くなったり、体力面でも十分でないなどから現場で不満を抱かれやすくなります。特に建設系なら尚更で、業界も相まってそういう方向にいく可能性は高まります。

映像では指導で虐待しているというより明らかに面白がって虐待しているように見えます。こういう日本人は当然非難されるべきですが、これが今の現実で、たとえ一部の会社と言えど事例がある時点で諸外国から実習制度批判が起きるのもやむを得ないように思います。

見ている限り他にも実習生がいたようですが、他の実習生は餌食にはならなかった様子。よく2年間も耐えたなと思いますが、失踪しても色々な部分で保証がなかったのと、恐らく根は真面目な方なんじゃないでしょうか。

年齢を考える

10年前ぐらいであれば40代の実習生など皆無でしたが、今はそれぐらいまで年齢を引き上げないと実習生が見つからないという現実があります。特に建設系はきつくて当たりも厳しいというのは当地のベトナム人の間でも有名なので避けられやすい業界です。ヤンキー上がりが多いので、ハマればとことん可愛がってもらえる、ハマらなければニュースのような扱いを受けやすくなるんじゃないでしょうか。ただ年齢を考えるとやっぱり可愛がられる立場になるのは難しい気もします。

実際私も同業界の現場の方と接する際に、全体的に言動が粗暴な人が多い印象をもっていますが、その中でも関わろうと思う人とそう思わない人がいます。単純に言葉の問題ではなく人間性の問題です。

国民の見解が一致しない限りは

今回の事件については責任者(社長)の問題が大きいと思っています。この件を知らなかったのか、あるいは見て見ぬふりをしていたのか知りませんが、虐待に加担した日本人への指導不足、該当の実習生を採用した両方の責任があるでしょう。ただし人がいないから選別せず(できず)に実習生を採ることにより昨今の実習生絡みの問題が起きているのも事実です。実習生と関わらない人は

「ちゃんと判別して良好な人材だけ厳選して連れて来い!」や「実習制度廃止しろ!」

と言いますし、当の実習生を採る現場からは

「それができない現状だ!人がいなかった仕事が回らないし、結果的に日本経済(会社経営)に影響がでるだろ!」

と衝突します。まずはこの辺りの国民としての意識を統一しない限り前進は難しいのかなぁと。また今回の一件もそうですが、実習生絡みの事件のほとんどがベトナムで報道されないのも闇を感じます。

実習生を単純労働者として捉えている人は多いと思いますが、普通の単純労働者より言語の観点から負担が多くなっています。実習制度と似たような正に出稼ぎ労働がベトナムでは盛んで、韓国や台湾を筆頭に中東、アフリカ、ヨーロッパと色々な国に行ってます。しかし日本は実習制度という建前と日本人元来の要求から実習生に相応の日本語力を求める一方、他国は日本ほど言語を求めない傾向があります。

日本人が求めるのは単純に肉体としての労働力だけではないことが分かります。

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