ベトナムの長距離バス「xe khách」とは?

ベトナム人が少し離れた田舎に帰る場合、バスで帰る人が多いです。日本のようにインフラが整備されていませんので長距離の鉄道は利用しにくいですし、路線も限られていますからあまり現実的ではありません。一方長距離バスは値段も安く、路線、本数が充実していたり乗り降りする場所も比較的融通がきくのでよく利用されます。今回はベトナムの長距離バスについての話です。

日本の長距離バスより融通は利くが・・・

ベトナムの長距離バスは乗り降りする場所が自由です。決まって停車する場所は出発駅と終点駅くらいなもので、そのバスの道中であればどこでも降ろしてもらえますし、乗る時も手を上げればヒッチハイク形式で乗せてくれます。ドローカルの乗り物なので土地勘がなければ外国人が使いこなすのは少し難しく、途中の乗客の乗り降りが多いので直通で車を走らせるよりも1.5倍ぐらいの時間がかかります。日本人の利用者を見ていますとローカルに通じた人やベトナム人配偶者がいて田舎に帰る時に使われることが多いように思います。

また人以外に荷物を運ぶ役割も担っていて、そのバスの道中であれば目的地まで荷物を運んでくれます。受取人が幹線道路沿いで待っていて、バスが近付いてくると事前に知らされていた連絡先へ電話をかけて引き渡すといった流れとなります。普通の宅配会社と比べて料金がどうなのかは分かりませんが、よほど大きな荷物でない限り人間一人のチケット代より高いということはないと思うので料金はしれています。荷物を渡せば数時間後には受取人に届いていることを考えれば安いものでしょう。以前私がハノイからニンビン省(ハノイから来るまで2時間半程度)へ行ったときは、バイクをバスで運んでいました。バイクと一緒に運ばれる私、どちらが荷物か分かりません。何でもありやなぁと思いましたが、ベトナム人曰く「さすがにバイクは稀」とのこと。

ベトナム語から日本語に「バス」を訳すとき

少し日本語が分かるベトナム人に日本語でどうやって田舎へ帰るかと聞いてみると、「客車で帰ります」と答える場面に出くわすことがあります。客車…日本では最近言われていないと思いますが、私が「バスですか?」と聞き返すと「いいえ、自動車です」という返事が来ます。

まず客車とは日本語で何ぞやというところからですが、一般的に客車とは旅客を運ぶ鉄道車両のことをさすようです。しかしここで言うベトナム人は自動車とも言っているので、少なくとも上記の語義にあたる乗り物ではないことは確かです。

まあ私の中でも大体どんな乗り物で帰っているか予想はついているので、画像を見せて「これのこと?」と聞いてみました。

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(比較的大型の長距離バス。他にもマイクロバスやミニバンなど様々な長距離バスがある)

答えは「イエス!」。これはバスだろうという私の心の中でのツッコミは置いといて、そもそも何でこんな言い方になってしまったのかを考察します。

まずこの手の乗り物はベトナム語で「xe khách」と言います。 xe=乗り物、 khách=客という意味なので、例のベトナム人はこれを直訳したと考えられ、「xe khách」は日本でいう長距離バスと解釈すればいいかと思います。一方で一般にバスは「xe buýt」と訳されますが、ベトナム語でこの言葉を指す意味は市内を走る路線バスと考えられるようです。

外国語同士の互換性はその言語によって変わってきますが、そういうことを知ることができたいい経験でした。こんな機会がなければ私が「客車」という日本語の正確な意味を知る機会もなかったかと思います。

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