ベトナム人のお風呂事情

国が変わればお風呂事情も結構変わってくるものですが、海外にいますと日本はお風呂文化が進んだ国だと本当に思います。こちらの記事ではベトナムのお風呂からベトナム人の身体の洗い方などを紹介します。

ベトナムのお風呂とは

バスタブにつかる文化はない

ベトナムでは基本的にバスタブにつかる文化はありませんので、普通の家ではバスタブはありません。最近では一部の富裕層や高級マンションなどでバスタブを備えた家も目にしますが、その場合のイメージとしては西欧風のバスタブ、つまりバスソープをバスタブに入れて体を洗うような使用をしている場合が多いです。お湯については後述しますが、バスタブいっぱいまでお湯を張るにはかなりの量を必要としますので、色々な意味でお金がかかります。日本のように意識せず大量のお湯が蛇口から出るというわけではありませんので、それだけバスタブは浸透しにくい事情もあります。

ユニットバスの造りが主流

現代ではほとんど家にシャワーがつくようになりましたが、今でも田舎の貧しい家へ行くと、シャワー無しで溜め桶に入った水を使ってお風呂に入っているという家もあります。この場合は我々の感覚ではお風呂というより洗い場のように感じるでしょう。また造りとしてはユニットバスが主流で、ちょうど日本のユニットバスの湯舟抜きみたいな構造を想像してもらえれば分かりやすいかと思います。最近ではシャワーとトイレ&洗面台を仕切るガラス戸も普及してきましたが、今でも仕切りなしでシャワーを浴びている人もたくさんいます。なのでそういった状況ではシャワー後は床や便器がビシャビシャになりますので、日本人からするとちょっと引くかもしれません。

お湯を使いたいなら準備が必要

ベトナムは日本のように蛇口の温度を上げればいつでもお湯が出るというわけにはいきません。お湯を出すには専用の湯沸かし器(máy nóng lạnh)のスイッチを入れて、事前にお湯を準備しておく必要があります。この湯沸かし器はサイズによって準備できるお湯の量に差がありますので、意識せずジャンジャンお湯を使っていると後半は水シャワーになってしまうことになります。初利用の場合、ほとんどの日本人はこの洗礼を受けたことでしょう。使い慣れると大体どのペースで使えば最後までお湯でいけるのか分かってきますが、やはり日本のようにふんだんにお湯が使えるということを有難く感じるものです。因みにこの湯沸かし器のスイッチを常時入れっぱなしにしておくと地味に電気代がかさみます。なので入る前と入り終わった後でこまめにオンオフするわけですが、事前にスイッチを入れ忘れると暫く待たないといけなくなるというロスタイムが発生します。

ベトナム人の身体の洗い方

毎日風呂には入ります

時々ベトナム人は風呂に入らないなんていう記事を見ますが、一般的なベトナム人は毎日風呂に入ります。もし入っていない人がいたとしてもそれは日本人と同じでマジョリティだと思ってください。しかし毎日風呂には入りますが、身体の洗い方や感覚は日本人と若干違いがあるようです。以下で詳しく解説します。

髪を洗う感覚について

ベトナム人の男性は短髪が多いので髪と体をいっぺんに洗う人が見られます。なのでそういったニーズに対応するため男性用ボディソープで髪も洗えるという製品もよく目にします。日本の男性ほど髪質などを気にするベトナム人はまだ少ないので、ある程度大雑把に洗い上げる人が多いのでしょう。もちろんリンスやコンディショナーといった類も男性は使いません。

女性は大体日本の女性と同じです。髪を毎日洗うかは人によりますが、北部の冬場は毎日洗うと髪がぱさぱさになるといった理由で1日おきに洗っている人もいます。また昔の人は妊娠中は髪を洗ってはいけないという文化があったようで、今でも妊娠中の女性に髪を洗うなと言う姑がいるみたいですが、現代の女性はそんな姑を̪シカトして妊娠中でも髪を洗っています。一応朝シャンをしている女性もいるみたいですが、ちゃんと髪を乾かさず半乾きで出社してくる女性もチラホラ見られます。

身体は基本手洗い

身体を洗うときにスポンジやタオルを使って洗う習慣はそれほどありません。ちょっと汚れが気になるときなどに使うことはありますが、基本は手で洗うことが多いです。特に説明の必要はありませんがボディーソープを手にとり体を撫で洗うといった感じでしょうか。余談ですが私がベトナムに来た当時、日本のときと変わらずスポンジで身体をゴシゴシ洗っていたのですが、冬場に日本では経験したことのない皮膚の乾燥に襲われました。原因としては気候や水、石鹸の質など色々考えられますが、一番の原因は身体を擦り洗いしていたことだと思います。それからはスポンジの使用を3日に一回に減らし、それ以外はベトナム人同様手で洗うやり方に切り替えたところ、皮膚の乾燥に悩まされることはなくなりました。それを経験してベトナム人が手で身体を洗う習慣について「なるほどね」と思ったものです。

遅い時間に風呂に入ってはいけないという謎

なぜかベトナム人の間では「遅い時間に風呂に入ってはいけない」という定説があります。要は遅い時間に風呂に入って亡くなる人が多いということです。実際に亡くなったという人を見てみますと、温度変化が原因で起こる脳梗塞や心筋梗塞が原因なのかなと思いますが、ベトナム人の中では何かスピリッチュアルな現象として捉えているようなふしがあります。以前少し離れた親族が亡くなった時も、ちょっと前に夜遅い時間に入っていたことが話題として取り上げられていました。そのとき親族間で「だからか。。。」みたいな感じになっていましたが私は内心「いやいや。。。」と思ったものです。他にも日本で帰りが夜遅くなった時(21:30ぐらい)に私の母が当時1歳の娘を風呂に入れようとしましたが、妻は少し不安げな態度を見せていたことを覚えています。

私は日本の風呂が大好きなので一時帰国の際には銭湯や温泉に必ず繰り出します。冬場のハノイに居ると日本のふんだんなお湯が本当に恋しくなります。

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