駐車場問題からベトナムの仕事の本質を考える

ベトナムにそれなりに住みましてベトナム人社会に揉まれながら生きている私ですが、それでも日本人的な感覚を基準に生活しています。三つ子の魂百までと言いますか、ついつい日本的な考えで解釈してしまう癖はなかなか抜けません。今回は私が住んでいるマンションの駐車場問題について妻と話をしながら考えさせられた話です。

マンションの駐車場問題

私が住むマンションは築3年程度の新しいマンションです。ちょうど新しく建ったタイミングで引っ越してきましたので初期からの住民という位置づけで、当時入居率は70%程度だったと記憶しています。このマンションには車を停める駐車場もそれなりの広さであるのですが、入居した当初はまだ車の駐車数は少なく駐車場はガラガラでした。そこでマンションの管理会社は無駄なスペースを無くしたいということで、マンションの住民以外の周辺住民にも月極の駐車場として開放し始めました。

これにより駐車場は満車となりますが、築3年となった今、入居者が100%近くになったことや車の購入を検討しているマンションの住民たちから外部の車で駐車スペースがないということでクレームが殺到することになります。

まあ少し考えればこうなることは容易に想像できるわけで、じゃあ外部の車を追い出すかというとそういう動きは今のところ見られません。管理会社はこのクレームを聞いているふりをして今のところスルー、そんな感じです。

妻が言う「本質」

私「マンションの住民と外部の人で駐車料金を別にしたらいいんじゃない?外部の人の駐車料金はマンションの住民の2倍にするとか。」

妻「そんなことしても変わらないわよ。担当者にお金を渡せば外部の人でもマンションの住民という扱いにして今まで通り駐車させちゃうわ。」

私「そんなズルしてもすぐバレるやろ?」

妻「どうやって?」

私「ナンバープレートを照会するとか住民の証明を調べるとか。」

妻「誰がそんな面倒なことしてまで調べるのって話よ。管理側からすれば必要なお金が自分たちの懐に落ちていればわざわざ面倒なことまでして改善対応なんてするわけないでしょ。やらなければ自分たちにとって不利益なことになるまでは動かないのが常よ。日本とは違うの。」

私「・・・」

仕事にも通じる話

「やらなければ自分たちにとって不利益なことになるまでは動かない」

なかなか本質を突いた言葉で、ベトナム人に限らず日本人にも通じるところがあると思います。経営に関してやらないことにおける不利益とは「収益の低下」が真っ先に挙げられますが、経営云々に直接関係のない従業員からするとやらないことにより「上司から怒られる」「勤務評価に影響が出る」「他の従業員に対する体裁」などといった動機から仕方なくやる、ということはよくあります。結果的にそれが収益の増加やサービスの改善&顧客の満足度を高めることに繋がっていたりするものです。

「上司から怒られる」「勤務評価に影響が出る」「他の従業員に対する体裁」

これら3つは働くうえでストレス要因にもなりえる項目であり、これらに追いつめられると心を病んだり転職が頭によぎってくることになります。ベトナムでやり手の日本人マネージャーはベトナム人従業員に対し上の3つを上手くコントロールしながら現場を回している人が多いように思います。

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