信頼できるパートナー?ベトナム人と会社を共同経営するありがちなこと

外国人に営業許可が下りない業種やベトナム人がパートナーにいたほうが心強いということで、現地でベトナム人を共同経営者としてビジネスを始める日本人がよくいます。しかし上手くいかないパターンが多く、どうしてこうなってしまうのか?と嘆く声も。今回はベトナム人と共同経営をした際によく起きることについて書いていきます。

なぜベトナム人と共同経営するのか?

ライセンスの問題

業種にも依りますがベトナムでは外国人に営業ライセンスを発行しない業種があります。この場合は必然的にライセンス取得のためベトナム人を代表者として立てる必要があります。また日本人(外国人)が初めてビジネスをするにあたり手続きなどで手こずることが結構ありますが、ベトナム人がいるとその辺りがスムーズに進みやすいという利点もあります。

資金の問題

たまに金銭面で日本人におんぶにだっこのベトナム人共同経営者もいますが、それなりに資金があるベトナム人であれば折半で起業ということも可能です。この場合は日本人にとって初期投資が安く済むこと、また上で書いたように会社設立で必要な煩雑な手続きをパートナーのベトナム人が請け負ってくれるなどといったメリットも期待できます。

起業後のセットアップ

現地でビジネスをやるには事務所の選定や道具を揃えなければなりませんし、ベトナム人従業員も必要です。そうなったときに便宜を分かっているベトナム人パートナーがいればやりやすいですし、日本人にとっては正直楽でしょう。ベトナムならではのしきたりも全部カバーしてくれますので、日本人は営業に関する分野に集中できるメリットがあります。

と、ここまでだと共同経営はメリット尽くしの気がしますが、もちろんデメリットもあります。このデメリットの影響でトラブルが発生し、最終的には日本人が泣く泣く会社を手放すなんて話も実際にあることです。

よくある衝突の原因

決断のタイミングの違い:日本人とベトナム人の考え方

一般的に日本人はきちんと段階を踏んで会社を成長させることを望む人が多いです。これは我々日本人から見ると「堅実」という見方ができますが、このような感覚のないベトナム人から見ると「動きが遅い」という見られ方をされることがあります。

例えば何か儲け話があった際、多くの日本人はその儲け話が本当に儲かるのか入念に吟味するでしょう。ベトナム人の場合はとりあえず話に乗りながら同時進行で儲かるかを考える傾向があります。日本人の場合はそれによってトラブルに巻き込まれたり、損をする事態を徹底的に避けたいと思いますが、ベトナム人の場合はその事態に陥ったらその都度考えて乗り越えていけばいいという発想です。これは行き当たりばったりだという言われ方をされますが、彼らにとってはみすみす儲かりそうな話を目の前に何もアクションを起こさず、ただじっと考えるというのはナンセンスなのです。

商習慣からの対立

「郷に入っては郷に従え」とはよく言われますが、どこまで従うかはその人依りけりです。ビジネスを成功させるのにある程度のコネがあるのと無いのとでは雲泥の差です。ではそのコネはどうやって作るのか?やはり袖の下のお金が一番ものをいいます。しかし日本ではそういった習慣がないことから、そこに難色を示す経営者は多いものです。もちろんそういったことをせずにビジネスをしていこうと思えばできますし、その考え方は日本人として大切にしたいものですが、ベトナム人が共同経営者ということで、そんな甘いことをほざいていると嫌悪感を抱かれることになります。「会社を発展させるための行動なのにパートナーの日本人が邪魔をする。」そういう風に思われるわけです。

実務面での対立

実際にベトナム国内で会社運営となりますと、日本人は日本人と直接やり取りするようなこと以外で力を発揮できない人は多いものです。そうなるとそれ以外の実務面ではベトナム語も必要ということもあり、必然的にベトナム人パートナー頼りになります。もしパートナーの日本人が会社にとって常に莫大な利益を持ってくるのであればそれでも特に問題はないのでしょうが、そういうことでもない場合、「別にあの日本人いなくても会社経営やっていけるんじゃない?てかいないほうが上手くいくんじゃない?」というように考え始めます。

決定的に対立をした場合は言うまでもなくベトナム人が有利

対立が決定的となり、いよいよ袂を分かつとなった場合、ほとんどの確率でベトナム人側に軍配が上がります。まず従業員がどちらにつくかという問題ですが、大体はベトナム人経営者につくでしょう。ベトナム人経営者より日本人経営者のほうにつくとしたら、よほどそのベトナム人経営者は信頼されていないということでしょうし、もしそうであれば最初から袂を分かつようなまねはしないでしょう。また商習慣的に正攻法だけに固執しなければ一気に会社を大きくする術をもっているのがベトナム人の敏腕経営者です。従業員もその部分が期待できると思えば間違いなくベトナム人経営者の方につきます。

またこれまでの事務的な部分などを全部ベトナム人パートナーに投げていた日本人経営者は、決裂すると運営に関して直接的に何もできなくなってしまいます。なので結果的に会社から追い出される形で去ることになるというのが決まったパターンです。

そもそも信頼できるパートナーと勘違いしていないか?

はなから信用していない人をビジネスパートナーに選ぶ人はいません。しかし知り合ってまだ日が浅いようなベトナム人を簡単にパートナーに選んでしまう日本人が多いことも事実です。考え方や性格など、本当に根の深い部分まで分からずにたまたま意気投合して共同経営なんてことになると、大概上手くいかないものです。ベトナム人同士ですらそんな安易にビジネスパートナーなどは選ばないもので、ベトナム人が最も信用するのは身内です。ですのでベトナム企業で同族経営が多いというのも頷けます。

ベトナム人と共同経営で最終的に日本人が締め出される話は私の知り合いで何人かいます。技能実習生を送り出す機関などはその典型で、制度のグレーさも相まって何かとトラブルの多い業界です。それ以外の業界でも共同経営を考えている人は立ち上げから運営まで常に経営の軸に身を置くことをお勧めします。