言語による発音差別について考える

メジャーリーガー大谷選手の活躍は素晴らしいものがあります。今となってはアメリカでもすっかり受け入れられた二刀流ですが、大谷選手に対して差別的な発言があったとのことで炎上騒ぎになった話題がありました。今回はそれについて思うことを書きます。

very very careful

メジャーで殿堂入り(野球がよく分からない人はとりあえず素晴らしい実績のあるOBと理解してください)した元投手ジャック・モリス氏が解説をしていた試合でのこと。実況に「大谷選手に対してあなたならどう向かいますか?」と聞かれ、

「very very careful」

と発言。これを見ると「大谷選手は凄いバッターだから警戒する」という意味にとれますが、アメリカ現地ではこれが物議を醸した模様。この言い方がアジア人に特徴的な英語の発音で喋っているということで、「差別じゃないのか」となっているんだとか。実際の発言は下の動画でご確認ください。(件の発言は0:04ぐらいのところ)

これはネイティブか相当のアメリカン英語力がないと違和感は感じないんじゃないでしょうか。私がこの中継を見ていたら間違いなくそのままスルーしています。炎上しているということを知った当の大谷選手は「個人的に気にしていない」とのこと。またこのニュースを知ったネット上の日本人のコメントを読んでもそんなに批判の声は見られません。

とりあえず炎上していますのでモリス氏は謝罪を表明。差別の意図は全くないとのことですが、想像以上に社会的な批判&制裁を受けているようです。今回批判の声を上げているのがアメリカ人全般なのか、アジア系といった特定の人種系なのか分かりませんが、アメリカも自らの発言で首を絞めることになる国です。

日本の場合はどうだろうか

差別は本人にその意図がなくても、相手がそう捉えたら差別になるところがあります。その言語の発音や話し方という点で、話し手の国籍などを限定するような言い方は現代ではどうなるのでしょうか?

中国人の「~アル」

最近は少なくなったかも?日本人が中国人の真似をしてしゃべる時に「~アルヨ」とか「~アルネ」という言い方。この言い方が生まれた過程はよく知りませんが、テレビや漫画などで頻繁に出てきていました。これは役割語の一種と思われますが、差別的な意図があるかはともかく今だったら少し危険な臭いはします。

韓国人の「~ニダ」

普通に日本語を使って最後に「~ニダ」をつけるパターン。ネット上のコメントで韓国を批判するときにこういった書き方をしている人をよく見ますので、個人的にはこれはアウト。書いている人も差別的な意図があって書いているのは見え見えなので、公の場では絶対言うべきではないでしょう。

その他外国人全般

各母国語の発音に引っ張られた日本語を話す人のモノマネや、文字化するときに「コンニチハ」などカタカナ化するケース。バカにしているのかと言われると少し違う気もしますが、日本人が話すそれとは明らかに違うという部分を強調したい意図はあるんでしょう。

ベトナム人の場合

これまでの経験上、ベトナム人が日本語を話すときにベトナム人だけが持つ独特な特徴はそれほどないかなぁという印象。今やベトナム人は日本でマジョリティの外国人ですが、ベトナム人が話す日本語を真似する日本人にはまだ会ったことがありません。

ベトナム人が日本人のベトナム語を真似したら?

逆にベトナム人が日本人が話すベトナム語を真似する場合はどうでしょうか。仮に差別的な意図があって真似する場合は何となく想像できます。ベトナム語が分からない日本人でも頻繁に使う「エム・オーイ」。「Em ơi」ではなく「Êm ôi」と真似されやすいのではないかと。

ただベトナム語の発音自体はほとんどの国の人によって難しいものなので、日本人だけが特別変な発音をするというわけではありません。なのでよっぽど日本あるいはその日本人に対してマイナスな感情を持っていない限り、こういった侮蔑的なことをされることはないと考えます。

アメリカも人種に関連する差別はかなり敏感ではありますが、日本も対岸の火事とは言えない時代に入っていると思います。全く意図しない発言で炎上なんてことにならないよう、私も注意したいものです。

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