ベトナム人にとっての池

「ホアンキエム湖」って湖じゃなくて池では?と思った日本人は少なくないと思います。ベトナム人は日本人から見て「池」を湖と称することが多く、レイクビューの部屋なんて楽しみにホテルへ行ってみると「ただの池じゃねーか!」なんてこともあるあるです。今回はベトナム語と日本語の観点から「池」と「湖」について語ります。

まずは日本語の「池」と「湖」

実は明確な定義がありません。というか面積や深さを基準に呼び分けるか、人工か天然かによって呼び分けるか、あるいは地域の習慣に沿って呼び分けるかなどバラバラのようです。ただ一般的に「湖」の名がつくものは琵琶湖を筆頭に大きい面積を持つところがほとんどなので、日本人にとって広く一般に「湖は面積が大きい」という認識がされています。

なので感覚的にはホアンキエム湖ぐらいの面積であれば「池」、タイ湖はまあ「湖」と言えるかな?ぐらいの感覚の人が多いのではないでしょうか。

ベトナム語の「湖 hồ」と「池 ao」

続いてベトナム語の「湖」と「池」の違いです。ベトナム語で湖にあたる「hồ」は一般的に日本語では「湖」と訳されますが、本来のベトナム語の定義では以下のようになっています。

「比較的面積の広い内陸部にある水が溜まっている場所。具体的にどの程度の面積以上があれば湖と呼ぶかといった明確な定義はない」Hồ – Wikipedia tiếng Việt

このウィキペディアにはビクトリア湖などの広大な面積をもつ湖を例に挙げている一方でホアンキエム湖のような面積の小さいものも湖と呼ばれると紹介しています。

一方、日本語ではよく「池」と訳される「ao」です。この「ao」がそのまま日本語の「池」と同じ定義であれば早いのですが、ベトナム語の「ao」は以下のように定義されています。

「一定の面積以下の水が溜まった場所。天然、人工どちらでも含まれる。面積は湖より小さいものとされる」Ao – Wikipedia tiếng Việt

これだけ見ると日本語の「池」と同じような定義のようですがベトナム語の習慣や文化に則ったaoの定義は以下のことが加えられています。

「魚などを飼育、繁殖させるため、農業で必要な水などを確保するために貯められた場所」

つまり生活で利用するため池が「ao」ということになりそうです。そう言われるとホアンキエムは確かに「ao」ではなく「hồ」ですし、ベトナムの公園にある「池」も「hồ」と呼ばれるのは納得です。

というわけで分かりやすく写真でベトナム語の「ao」がどんなものなのか貼っていきながら締めたいと思います。

(空心菜の栽培、周辺の農業用水などにも利用)
(魚の養殖)
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