留学生の強制帰国マニュアルとは?

日本語学校で外国人留学生の強制帰国マニュアルというものが問題視されているような記事を見ました。外国人留学生といえばベトナム人留学生も当然含まれているわけで、昨今の留学生事情を見ていると専らベトナム人留学生対象のように見えなくもありません。今回はそんな話について思うところを少し。

留学生の強制帰国マニュアルとは

日本国内で何か悪さをやらかしたり、学校への出席度合いが著しく悪いといった学生を除籍処分し、その後の強制帰国までの行動について書いたマニュアルなんだそうな。人権を無視しているといった批判の声もあるようですが、一応その日本語学校預かりで留学ビザを発行している以上、除籍になったから後は知りませんというわけにもいかないのでとりあえず日本から出国させるまでは責任を持つといった感じかと思います。

やり方はもちろん人道的であるべきですが、他に身元引受人などがいない場合は除籍となった人を野放しにするわけにはいかないのでこういった強制帰国の対応をするのはそれほど間違っていないかと思います。というか日本語学校を除籍処分になるというのは相応のことをしているわけで、日本語学校運営の関係上、単に学業成績が悪いといっただけで除籍になることはまずありません。なので「本来の留学生とはかけ離れたことをしている人」、あるいは「学費を納めない人」が除籍処分になる、ということになります。

実習生と留学生

ここからはベトナム人に限った話で書きます。留学生も出稼ぎ目的で来ている人が大半というのはこの記事でも何度か取り上げましたが、中には実習生として日本に行けなかったから留学生として日本に働きに来た、という人もいます。実習生は日本での受け入れ先の面接や技能試験などの選抜がありますので一応それなりの競争から勝ち抜く必要があります。昨今は日本へ行きたがる実習生の減少によりその競争もかなり緩くなりましたが、それでもお金を払えば誰でも行けるというわけではありません。一方留学生は日本語学校にとってはお客様なので、その辺りの審査は緩めです。入学するための最低限度の日本語力は建前程度にしか求められませんし、本人の心構えや来日の目的などを厳しく審査する(できる)学校も少ないです。こういったことから実習生として来日するより留学生として来日するほうがハードルは低くなります。

留学生の経歴を見れば大体検討がつく

これまで数多の元留学生の履歴書を見てきましたが、ほぼ書類のみでその留学生がどういう立ち位置で日本にいたのか、どの程度優秀なのかの検討がつきます。大きく分けると以下のような感じになります。

・国費留学生

学問目的の留学生。名門大学から留学している人がほとんどで留学前から基本的な日本語力は備えていることから日本での実地経験を通して更に日本語力が上達している。留学期間は短めの人が多いが将来的なポテンシャルなどが高い。

・日本の大学に留学

専門学校ではなく大学に留学している層も優秀な人が多いです。金儲けのために留学生をとっている不良大学はダメですが、そうではない大学の場合は結構難しい試験と突破して入学しているので勉学に勤しんでいることが分かります。実際に話をしてもしっかりしている人が多く、上の国費留学生に続いて優秀とされる留学生です。

・日本語学校→専門学校

所謂出稼ぎ留学生で今日本にいるベトナム人留学生の多数派です。日本語学校を卒業してから専門学校に進むのは日本での滞在期間を延ばすことを理由としている人が多く、大体日本でのアルバイト含む経歴は工場、飲食系です。これはこういった職種が日本で慢性的に人手不足である点、また出稼ぎ目的なので深夜も働けるポストがあるということからこの層の留学生にとって就労しやすくなっています。因みに専門学校は「~情報専門学校」とか「~ビジネス専門学校」といった文言のところがよく見られますが、特に専門的な知識をもっていると期待はしないほうがいいでしょう。

この日本語学校→専門学校のタイプの留学生はお金を稼ぐためであれば「留学」である必要はありませんので、「特定技能」ビザのハードルが低いのであれば、こちらのほうを選択する人が大半かと思われます。どれだけのお金をベトナムに持って帰られるかが来日する上での最大の関心事になりますので、やはり日本国内でも質素倹約な生活をしている人が多く、税金未納者も多いと聞きます。

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