喋れない、食えない、飲めない日本人夫を持つベトナム人女性の話

先日妻と一緒に日本人夫を持つベトナム人女性と話をする機会がありました。どうもベトナム側の親族との関りに悩んでいるようで、日本人夫を実家や親戚付き合いに関わらせにくいと考えているようです。実家が近いということで頻繁に親族の行き来もあるようでどうしたものかという話なようですが、今回はその話を基にベトナム人が考えることに合わせて私見を書いていこうと思います。

日本人夫のスペック

ベトナム人奥さんの話によると、自分の親族がその日本人夫と関わるに当たり、以下の部分で苦労しているとのこと。

語学:ベトナム語は分からない。英語は片言で世間話などのレベルは無理。

食:ベトナム料理は食べられないことはないが、食べられる料理の種類や味付けが限られる。

酒:基本飲まない。飲んでも付き合いでビール1杯程度。

こんな感じなので実家や身内の家に行って食事をすることがあっても夫自身が楽しくないですし、身内もどう扱ったらいいか困るような感じで変な空気になっているそうです。

程度の差こそあれ似たような感じの日本人夫って結構いるんじゃないかなぁと思います。「ベトナム人との身内付き合い=食事」みたいなところがありますので、語学、食、酒の3つをクリアできるかどうかでかなり印象が変わってくるんじゃないでしょうか。私の場合はとりあえず食と酒は初めからクリアしてましたが、語学はやっぱり今でも相手によっては難しいと感じることもありますし共通の話題という点で苦労することはあります。妻の身内付き合いの場合は基本上げ膳、据え膳なので楽ではあるんですけどね。。。

それぞれの立場から感じていることを考えてみる

こんな感じですと双方にもどかしさがあると思います。勝手に双方の気持ちを考えてみます。

日本人夫の立場

語学:ベトナム語は分からない。英語は片言で世間話などのレベルは無理。

>>通訳者(妻)がいないと間がもたない。でも妻もずっと付きっきりというわけにはいかないので、妻がいないときの無言の間が何ともツライ。

食:ベトナム料理は食べられないことはないが、食べられる料理の種類や味付けが限られる。

>>美味しいと思えるものがあまりない。でも全然箸をつけないのは失礼?頑張って食べるけど腹を満たすまで食べるのは無理。食事したという感じにならない。

酒:基本飲まない。飲んでも付き合いでビール1杯程度。

>>地酒美味しくないし度数高すぎ。単なる苦行。周りはいい感じに酔っぱらって盛り上がって自分は完全に孤立。早くこの場から離れたい。

ベトナム人親族の立場

語学:ベトナム語は分からない。英語は片言で世間話などのレベルは無理。

>>聞いてみたいことは色々あるが言葉が分からないから何も言えない。自分にできることと言えば食事を促すことぐらい、か。。。

食:ベトナム料理は食べられないことはないが、食べられる料理の種類や味付けが限られる。

>>できれば外国人(日本人)でも食べやすいものを出してあげたいけど、それに限ると他の親族にとっては物足りない。とりあえず食べられるものが何もないということにはならないようにしないと。

酒:基本飲まない。飲んでも付き合いでビール1杯程度。

>>飲めないのか飲みたくないのかどっちだろうか?外国人だから無理やり飲ませるわけにもいかんけど、乾杯に誘わないのは礼を欠く?

だいたいこんな感じでしょうか。ベトナム人側はベトナム人側でそれなりに考えるものですが、場をもたすという意味ではこういう状況下にいる日本人夫が一番ツライかと思います。

どうやって克服するか?

冒頭の奥さん的には少しでも親族付き合いがしやすくなるために、上の3つを改善できればと考えているようです。正直努力で何とかなるのは語学だけな気もしますが、とりあえずそれについて私が言った意見を書きます。

語学

学習するしかありません。夫側にベトナム語でコミュニケーションを取りたいという気持ちが本当に強くないと難しいでしょう。ベトナム語学習者で挫折が多いように、ベトナム語ビギナーに優しくないベトナム人は多いので、それでも食らいつくぐらいの意気込みがないと改善は望めないと思います。日本語だけで何とかなってしまっている生活環境を変えるぐらいの努力も奥さん側に必要ではないでしょうか(ただ夫婦間の共通言語を変えると言うのは意外と煩わしかったりもします)。それでも年単位での時間が必要だと思います。

とりあえず食べられる料理や味付けを洗い出してみてはいかがでしょうか。レストランで食べるベトナム料理は通常の家庭料理ではないものも多いので、「cơm bình dân」や「bia hơi」巡りをしてみるのもいいかと思います。そのうち慣れて食べられるものが増えてきたら儲けものです。

あと実家に帰る時などは敢えて事前に具体的な料理をリクエストするのもいいんじゃないでしょうか。日本人でもそうですが、外国人が自分の作った郷土料理を食べたいと言ってくれると嬉しいものです。

体質的に飲めないのであればそれは奥さんから身内にちゃんと説明してください。度数が強いとか味が美味しくないから飲みたくないなどであれば、少なくてもいいので頑張って飲む努力は夫側にも必要かと思います。ただイヤイヤ飲まれるのはベトナム人側にとっても不本意だと思いますので、その辺りの兼ね合いは一度夫と話合ってみたほうがいいでしょうね。

こんな感じで話をしました。夫がそういうの苦手だから極力親族の集まりに行く機会を増やさないようにするのではなく、改善させて親族とガンガン関われるようにする前提で話をしているところが何ともベトナム人の奥さんっぽいです。

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