ベトナムの猫についてあれこれ

以前ベトナムの犬について書きましたので今回はベトナムの猫について書きたいと思います。

ペットとしての地位を確立させるまで

ベトナムの犬のときに書きましたが、ベトナムでペットの認識が普及するまで犬と言えば「番犬」として飼っているのが普通でした。一方猫はそういった類では役に立ちませんので、ある意味人にとっては犬よりも低い立場です。なので元々猫そのものが好きという人以外にとっては煩わしい存在で、実際猫嫌いのベトナム人は今でも結構います。

これはベトナムの伝統的な家の造りと猫の習性にも関係があると考えられます。というのもベトナムの伝統的な家の造りは中と外の境界が曖昧で、普段から家の扉を開けっぴろげにしているところが多いです。田舎に行くとこのような感じが顕著で、家の門や玄関の扉を開けたままにしている家は多いものです。

そこに外から猫が入るというのは容易いもので、家猫のようにきれいに飼われているわけではありませんから、不快に感じる人は多くなります。ベトナム人の友人も外の野良猫が自分のベッドに上がってきたから蹴り落したと言ってました。私から言わせれば野良猫が寝室に入って来れる家の状態のほうがツッコミどころなんですが、田舎ではありえる話なんでしょう。

そんな感じで十分な栄養を得る機会も少ないのか、全体的にベトナムの野良猫は日本のそれと比べて細身の猫が多いように思います。

ペットとしての猫

猫好きの人によってこれまでも放し飼い程度に飼われていましたが、最近の都市部では室内飼いの猫も見られるようになりました。これは日本の飼い方とそん色ない飼い方で、猫の地位が上がったことを意味します。また猫カフェなども都市部には存在し、学生や若い方を中心に猫好きな人で賑わっています。

(ベトナムの猫カフェ。利用規約は日本の猫カフェよりも若干緩め)

ベトナムは全体的に犬と比べると猫が好きな人のほうが少ない印象ですが、猫好きの割合は男性よりも女性のほうが多いのかと。また女性の猫好きは特に話をしなくても「猫が好きなんだな」というのが、そこかしこに表れますので、同じ猫好きであればそこをきっかけに仲良くなれるかもしれません。

やっぱり猫も食べる?

(猫肉の店の看板。犬肉と同じく場末感のあるところに店を構える。)

ベトナムの特に北部は中国の食文化を継いでいるところがありますので、やっぱり猫も食べます。しかし犬ほどポピュラーではなく、日常的に猫を食べるという層は犬よりも少ないです。こういったことから猫肉を出す店は犬肉の店より少ないですし、犬肉は市場でも見られますが、猫肉は普通の市場で見ることはありません。私もこれまできっかけがなかったということもあり、猫肉はまだ食べたことがないです。猫肉は10年弱それなりにベトナム人と密に関わっていてもきっかけがない、というような立ち位置と思ってもらえればいいでしょうか。

因みにベトナム語で猫は「con mèo」と言います。猫肉は「thịt mèo」。しかし猫肉の店の看板を見ると「tiểu hổ」と表記されていることもあり、これは直訳すると「小虎」。つまり「猫」という意味になります。猫肉の店以外でこの表記を見たことはまだないんですが、何か専門的な表記なんですかね?

今後は経済の発展に伴ってペット産業も伸びるのかなぁと個人的には思っています。私の娘も猫が大好きで、道端で猫を見るとよくはしゃいでいますが、一時帰省や旅行など長期で家を留守にすることが多々ある我が家ではペットを飼うことは当分なさそうです。

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