子どものベトナム語成長から感じる言語獲得について

我が家の公用語はベトナム語。日本語は私と子どもが話すときだけ使うローカル言語という位置づけです。3歳の娘はベトナム語が第一言語となりますが、この言語獲得の過程を見ていると私のベトナム語習得と被らせて興味深いことがあります。今回はその点について書いていきます。

巻貝と二枚貝は同じか?

巻貝と二枚貝、厳密には違いますが大きな分類で見ると「まあ同じ貝だよね」と感じる人が大半かと思います。字を見てもどちらも「貝」の文字がありますので貝類という認識になると思います。一方ベトナムでは巻貝は[ốc]、二枚貝は[ngao]。字面だけでは共通点はありません。因みに[ốc]はカタツムリの意もありますので、「渦を巻いた殻」というのが言葉のイメージになると思います。

で、私の娘は巻貝[ốc]のみ知っています。そして先日二枚貝を見たときは[ốc]と間違えていました。「これは何?」と聞かずに巻貝と間違えるということは、とりあえず形は違えど日本語で言う貝類という分類が漠然と頭の中にあるということなんでしょう。先日も虎とライオンを間違えていましたので似たようなものかと思います。

ベトナム語学習を通じて言葉の定義を考えさせられる

まだベトナムに来てすぐの頃、日本語ができるベトナム人と一匹のカエルについて話をしていました。

私「あっカエル!」

ベトナム人「いや、これはカエルじゃないでしょう。」

私「えっ、どうみてもカエルでしょう。」

ベトナム人「いや、これは違いますよ。」

私「???」

このやり取りを見ている皆さんが日本人であれば恐らく頭の中で浮かべるカエルの姿にそれほど違いはないと思います。それをどうしてカエルではないと言えるのか?当時の私には意味不明でした。しかし暫く時が経ち、ある程度ベトナム語が分かるようになり、そのときのやり取りの意味が分かるようになります。

一般に日本人がベトナム語を学習する場合「カエル=ếch」と学びます。私たち(日本人)が「カエル」と言うときはたとえそれがアマガエルであろうがウシガエルであろうがイボガエルであろうが同じカエルの言葉がありますので、総称としてカエルという言葉を使います。しかしベトナム語では同じカエルの種類でもすべてのカエルに[ếch]の言葉が入っているわけではありませんので、上のようなやり取りが発生してしまったようです。

なので当時の私は総称として「カエル」言ったのですが、ベトナム人の友人は特定の個体として「これはếch(カエル)ではない」と言っていたことが理解できます。

語の定義やニュアンスが異なるのは比較的動詞や形容詞、あるいは抽象名詞に多いのですが、このような物の名詞に対してもやり取りの齟齬がでるのも外国語学習の醍醐味かと思います。