日越ハーフの娘の言語習得過程を見ながら考えるベトナム語の難しさ

ベトナム語学習の話題として取り上げられるのは殆どが大人が学ぶケースですが、これから言語を習得する幼児の場合はどうなのでしょうか。この記事では私の娘のベトナム語習得過程を見ながら思うことを書いていきます。因みに娘は現在2歳、生活環境は私と話す(聞く)以外全てベトナム語の環境です。尚、ある程度ベトナム語に関する知識がないと分かりにくい部分もあるかと思いますがご了承ください。

ベトナム語の発音は幼児でもやっぱり難しい?

母音の問題

日本語の母音が「あいうえお」の5つとしたらベトナム語はざっくりと11あります。日本語の母音で凝り固まっている日本人の大人にとってはまずそこが難関になるのですが、これは初めてベトナム語を学んでいる娘も似たように感じています。私の妻と娘でこんなやりとりがありました。

娘「o」

妻「違う、ô」

娘「ơ ?」

妻「ô」

娘「???」

なんのこっちゃと思うかもしれませんが、ベトナム語の母音で日本語に当たる「お」は更に3つ「o ơ ô」に分類されます。これは大人の日本人がベトナム語を学ぶときにも苦労しやすい発音ですが、これができない日本人は相当いますしベトナム語が通じないと言う一つの要因になります。子どもは自然と発音を習得すると思っていましたが、こういう風にエラーと修正を繰り返してできるようになっていくんだなぁと思わされた瞬間でした。実は幼児も一生懸命学んで苦労しているところが窺えます。

声調の問題

ベトナム語では声調が全部で6つありますが、現在私の娘は「上に上がる声調」だけきれいに言えます。そもそも声調の種類などを理解しているわけではありませんので、聞いて真似をしているということになるのですが、それ以外の声調を正確にはまだ言えない段階です。例えば「con chó 犬」と「con mèo 猫」の場合、犬は正しく言えますが猫は正しく言えない(「con méo」となる)というような感じです。同じく日本人の大人が初めて声調を学ぶ際に、段階を経てできるようになりますので似たような感じかと思われます。

語彙そのものは日本語より易しい、か?

幼児が初めて学ぶ語彙を並べてみると日本語よりベトナム語の方が易しい気もします。発音はベトナム語の方が複雑ですが、音節の数(一つの単語に含まれる母音の数)はベトナム語のほうが少ないものが多いです。以下に例をあげます。分かりやすく日本語はローマ字表記にしています。

「inu/chó」「neko/mèo」「gohan/cơm」「sakana/cá」「tori/chim」「kasa/ô」などなど。

ベトナム語においてほとんどの単語は母音が2つ以内に収まります。なので彼らが日本語を学ぶ際には母音が3つ以上ある単語は言いにくく、また覚えにくいという印象を持っているようです。こちらにいる日本人の苗字でも母音が3つ以上ある人はよく省略したあだ名で呼ばれることがあります。例:「中村さん→ナかさん」など

日本語とベトナム語の難しさ比較はよく語られるところですが、ネイティブであっても本人の自覚がないだけでそれなりに苦労している姿が垣間見えます。将来的に娘には日越のバイリンガル+英語ぐらいはできるようになってほしいと思いますが、少しずつ成長を見守っていきたいと思っています。

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